問題解決

偽装は人の問題なのではなく、そうなる構造が問題

前回のブログで「報告偽装」について触れました。

「偽装」というと、ニュースで騒がれた産地だとか原料偽装、検査偽装について思い浮かべるかもしれませんが(正直、ケシカラン系の話が多くて私は辟易しています。ケシカランと話をしても全然問題解決に繋がらないのです)

もっと小さなレベルのお話です。

例えば、毎日11:00と17:00に機器をチェックして記録をする業務があったとします。
毎日、定期的に正直に記録をしています。何も問題は起きていません。そして、機器も安定して数字も全く変化がありません。

ある日、10:50にちょっとしたトラブルが起きました。水道管からの水漏れです。
単にパッキンが劣化しているだけなので、交換すればすぐに終わります。配管の経路を変更し、バルブを閉めて無事水漏れもなくなりました。
気付いたら時間は11:20。本来だったら記録すべき時間です。

記録する場所まで見に行ったら、11:25。ここで11:25と報告をすると、本社から言われます。

「何で、この時間だけ違うのですか?」

本社からは、現場が見えません。何かいつもと違うことが起きると、何が起きたのかと心配になります。
もし、問題があるとすぐに解決したい。現場も大変だから、こちらも助けたい。そういう人が殆どです。

一方、水道のパッキンが劣化したというのは、大したことではなく、生産にも何も影響はありません。ちょっとしたメンテナンスです。
しかし、ここで本社から問い合わせがあると、いちいちその理由を答えなくてはいけないし、場合によってはまた報告書を書く必要がある。
だいたい、少ない人数で現場を回しているから、いちいちそんなことに時間を掛けること自体無駄以外の何物でも無い。

「本社の人も忙しいだろう。本当に大したこともないトラブルだし、設備もちゃんと動いている」

そこで11:25と書かずに、11:00と書かれるわけです。

何も起きていないから、誰も損をしません。

これが「偽装」の始まりです。

背景には、「管理責任」と「説明責任」の存在、そして「記録責任」の存在があります。
説明している情報間においては「整合性」が求められます。

整合性を取るためには、「何もなかった」ことが重要なのです。「一つ何かある」と、面倒臭い作業が待っているのです。日本語ではこれを「やぶ蛇」と言います。
何も起きていないわけですから、何もなかった方が「面倒臭いことが起きない」のです。

そして、何もなかったデータが記録されます。

これらのプロセスにおいて、全て人間が介在して、いちいち「問い合わせ」と「ご説明」をしなくちゃいけないので、関わる人にとっては非常に面倒な仕事が起きるわけです。本社側も見えませんから、色々と聞きます。彼らは彼らで「記録責任」と「説明責任」と「管理責任」があります。(実際、責任といいますが、別に首を掛けてやっているわけではなく、単に矢面に立つというだけなのですが)

矢面に立つって大変ですよね。

自分で仕事を楽にするためには、ここで「何もなかった」とする方が、そこに登場する人物はみんなハッピーなわけです。

こうやって、偽装は少しずつ始まります。

みんなを楽にしようとして、却って面倒なことが起きるパラドックスです。

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