ワークライフ

現場走るのは、まさかアピールのためじゃないですよね?

何かあったときに、とりいそぎ「現場に行ってきます!」
レスポンス良く動く姿はとても気持ちいいですし、若いメンバーがそれをやると何だか嬉しくなります。
私自身も何か起きる場所が常に現場だと思ってますし、やっぱり事実を確認しないことには何にもできません。

 ただ、あえてここで考えておきたいのは、「現場行ってなにすんの?」という問いです。
私は行くことは良いことだと思ってます。
 ただ、行って何をするつもりなのでしょうか?

 そう問うと「何が起きているのか分からないので、まずは確認を」という答えが返ってきます。

 この時点で、実は仮説を持っていないということが露呈します。

 仮説を持たずに現場に行くとどうなるでしょうか?

 2つあります。一つは起きている事象を理解して対応策が分かり、その場で対応するか、もしくは必要な道具を取りに帰るパターン。二つ目は、起きている事象は分かるけど、対応策が分からず、知っている人に問い合わせをしに帰る(かもしくは電話で確認をとるパターン)

 どちらにしろ、ここには無駄が存在する可能性が高い。

「行って帰ってくる」という行為です。

 ある程度の仮説が立てられるのであれば、何らかの準備をしてから現場に向かうことができます。
しかし、何も仮説を持たないままだと、結局行ってから対策を練るしかなく、結局その対策を実行するためにもう一度動く必要があるのです。

 この「行って帰ってくる」という行為というのは、「ちょっとしたことじゃないか」と思うかもしれません。

 しかし、トラブルが起きる工場というのは、増築を重ねていることが多く、移動時間も馬鹿になりません。
と、同時に途中にクリーニングをする場所などの関所があることも多い(特に食品工場や精密機器工場に多いですね)
結局「行って帰ってくる」時間は、実は何も解決していないのです。

 ちょっと仮説を立てておけば良いのですが、仮説というのは、今までの経験の中から何らかのパターン化をしておかないと分からないケースも多く、仮説を立てることが出来るまでに時間がかかってしまいます。
 しかし、手元に現場の状況が分かる何らかの数値があるだけでも、何をやるべきか仮説を立てるためのヒントが生まれるのです。

 特にトラブルが多い古い工場こそ、この効果が出やすいのです。

 一方、「そんなちょっとしたこと」と馬鹿にすると何が生まれるでしょうか?

 「やったふり」のアピールの出現です。

 トラブルが起きたときに、冷静に状況を把握しようとすると、端から見ると「何もしていない」ように見えてしまいます(笑)
そうすると「何しとんねん!はよ動け!」となりますから、とりあえず現場に走る。
走る理由が問題解決なのではなく、怒られるからなのです。

まぁ、何もせずにぼーっとするよりもずっといいですけどね。

 話を戻します。「とりあえず行け!」というケースにおいては、残念ながら本人が問題解決がすぐにできるわけでなく、結局職場の上長や先輩に指示を仰ぐ形になります。

 相談受けた側は「しょうがねぇな。オレがいないと何もできないじゃないか」と、半ば嬉しそうに対応するわけです。

 現場に走る若手は、走れば怒られない。
 若手から助けを求められる先輩、上長は自分が解決することで、自己有用感が満たされる。

 バランスが取れているんですね。お互いの利害が一致しやすい環境です。

それ故に、仮説構築、問題解決というプロセスに移行しにくい状況が生まれてしまいます。
そして、人員は確保されていて、人件費はほぼ固定費化されますから無駄に気付きにくい構造が温存されてしまうのです。

 そして、若手が退職したり、人員が減らされたりするときに、そのバランスは突然崩れ、トラブルの出現が増加する悪循環に陥ってしまうのです。

 結構怖い話なのです。

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