問題解決

「仕組み」は作ったときには既に古い

 これはITに限らず、組織における全ての仕組みについてのお話しです。

 組織は大雑把に言って「仕組み」と「運用」のバランスが必要です。
仕組みだらけになると、法律のように仕組みを知り尽くしておかないと、新しいことができなくなります。
(そのためには、仕組みは作る時には古い仕組みをなくしておかないと、つぎはぎだらけの仕組みになって複雑性が増します)
 法律は抜本的に見直すのがとても困難を極めますので、どうしても複雑化していく構造になっており、そこには弁護士などの法曹家が必要になってきます。会計も同様、どうしても仕組みが複雑化していきますから、会計士などの専門家の存在が重要になってきます。
 ある本に、仕組みの多さを少なさと取引コストの関係性を分析したものがあったのですが、そこで書かれていたこととして「仕組みが多い会社は取引コストが多くなり、弁護士タイプなど仕組みを知り尽くした人が出世しやすい」と書かれていました。面白いですね。

 確かに仕組みが多すぎると、何だか雁字搦めになってしまい、なかなか新しいことをやりにくくなるのも事実です。
歴史の長い大企業が陥りがちなパターンです。

 では、仕組みは減らして「運用」でやればいいのか?というと、これまた上手く行かないんですね。
先ほどの本には「仕組みが少なくても取引コストは多くなり、社内の力学を知り尽くした人が出世する」とも書いていました。
 つまり、運用はどうしても運用者によって、解釈のずれが生じてしまいます。(解釈のずれをなくして、出来る限り人依存にならないようにするために仕組みが存在するのです)

 なかなか難しいのですが、一般的には仕組みは作るのが大変で柔軟性に欠けてしまいますが、運用は柔軟性があります。しかし、どちらがいいというわけでもなく、結局は「バランス」が重要になってくるのです。

 組織は数人であれば、口頭での連絡で何とか運用でも回るのですが、それ以上の組織はやはり仕組みが重要になってきますし、ITなんてまさに仕組みそのものです。

 この仕組みを作る時に、多くの場合「ウォーターフォール型」と言われる、

 ①課題認識 → ②要件定義 → ③仕組みの設計 → ④仕組みの開発 → ⑤仕組みのテスト → ⑥仕組みの教育 → ⑦運用

 というようなプロセスを経ることが多いのですが、基幹システムのような大規模なものになると、平気で1−2年かかるものもあります。一部の部署の業務システムであっても、軽く半年かかってしまうということもよくあります。

 このプロセスの中で①と②において、今の課題を認識すると、作った時にはもう古いということが起きてしまうのが今回のお話しです。

 非常に単純なんですが、③と④に時間がかかりますし、何より①、②の定義そのものもハッキリ言って面倒くさい手続きが必要になります。となると、今の課題認識を基に色んなコトをやっていると、⑦のロールアウトをしている頃には「何だったけ?」となってしまうのです。

 これはウォーターフォール型の弱点でもあります。プロセスを戻ることが非常に難しいですからね。

 ウォーターフォール型に対して、アジャイルなどの色んなやり方もありますが、別にウォーターフォール型がダメというわけではありません。

 大規模な基幹システム、銀行にあるような勘定系システムの開発をアジャイルでやるなんて、考えたくもありません(笑)一方、個人向けのスマホアプリのように、ウォーターフォール型で1年もかけると、顧客は既にそこにはいません。ものには向き不向きというのがあるのです。

 どちらの方法がいいのかは、色んな所に書かれていますから、そちらを参照していただければいいと思いますが、どちらの方法を採るにせよ、まず考えてほしいのは

 「その問題意識はいつの時間軸で考えているのか?」ということです。

 もし、開発に半年などかかる場合は、その数年先を見据えて要件定義をしておかないと、作った時は既に古いということになります。

 数年先というのは、未実現の事象を考えなくてはいけません。

 そして、未実現の事象というのは、「見たものを一番信用する」人間の癖から言うと、常に批判にさらされます。
 その批判に対して、丁寧に説明したり、説得したり、諦めずにやっていくことが求められるのです。

 その拠り所は、どれだけ「その先の世界」を頭にハッキリと描けているかなのかもしれません。

 今の問題はスピーディーに今すぐ解決し、仕組み化する場合はその先を描きながら、我慢強くやっていくことが求められるのかもしれません。

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