テクノロジー

AIって勝手に学習するんでしょ?学習の仕方を教える必要はありますけどね。

 AIについての話が出ない日はないくらい、毎日新聞やweb記事に出てくるようになって1,2年くらいが経つでしょうか?

 ガートナーによると、AI技術は「『過剰な期待』のピーク期」らしいです。

 これは、毎年ガートナーが発表している「テクノロジのハイプ・サイクル」というのがありますが、これは横軸に経過時間、縦軸に技術の期待状態を波形状態に表現しているものです(詳しくはガートナーのページをご覧下さい)

 「過剰な期待」というのは分かる気がします。

 これはある意味致し方ないのですが、何より情報が錯綜していること、様々な見解があってまだ評価が定まっていないことなどもあるでしょう。ただ、この期待があるからこそ技術が進化するので、私は真っ当なプロセスを経ているものだと思います。

 仕事柄色んな話をしたり、話を聞いたり、書籍や記事を読むことが多いのですが、どうしてもひっかかる言葉が

 「AIは学習します」

 この表現。

 AIは学習するんですよ。確かに。ただ、この言葉が「何でもできる優秀な奴」みたいな妄想を生んでしまうんじゃないか?と感じてしまうんですね。

 例えば、人に置き換えてみましょう。

 新入社員が入ってきました。

 「この新入社員は学習します」

といったら、当たり前じゃないかと思うかもしれません。

 では、その人を「学習するでしょ」と言って、そのまま現場に放り込むとどうなるでしょう?

 きちんと思った通り、学習しますかね?

 おそらく、否でしょうね。

 そんなに簡単に思ったとおり学習してくれるんだったら、もう苦労なんてありませんよね。
とりあえず人を確保して、現場に放り込めばいいわけですから。

 となると、教育が必要になるわけです。

 教育にも色んな方法がありますが、

「○○という場合は、△△をしてね」
「でも、××という場合は、□□をしなくちゃいけないのよ」

 というやり方。
一方、教えて貰ったもの以外の状況が出てきた時に

「すいません、先輩。これどうすればいいんでしょうか?」

 という質問が帰ってくるかもしれません(質問があるのは、まだマシなくらいで、「言われてませんでしたので」と何もしないケースすらあるかもしれません。)

 これでは、延々「○○の場合は」という条件を伝えなくてはいけないのですが、これだと非常に面倒なわけですね。今までのシステム開発と同じです。 情報システムでいう 「if …else」の条件分岐と同じです。

 その条件分岐の組合せだと、非常に膨大な教育をしなくてはいけないので、「基本的な考え方」であったり「目的思考」「問題解決プロセス」「報連相」「マニュアル作成」などをあの手この手で何とかしようとする訳です。

 ただ、システムでは「あの手この手」という総力戦がなかなか通用しません。システムはあくまでも計算しかできませんから、その計算方法を工夫で何とかする必要があります。AIもあくまでも計算でしかないです。

 そこで、重要になるのが「AIモデル」。

 これはもの凄く乱暴に言うと「学習の仕方を定義する」と思ってください。

 学習の仕方を定義することで、データがどんどん入ってきた時に、今まで基準との比較で処理されていたものが、AIによってアウトプットが変化していく訳です(基本的に「打率が上がっていくように仕向ける」と思ってください)

基準との比較(閾値比較)では、最初に定義した基準からずれることはありません。あくまでも定義した範囲で○×がでてくるだけ。それに対してAIはどんどん打率があがってきます(これが学習するということなのです)

この学習の仕方の定義が非常に難解極まるわけです。(教え方を間違えると、当然期待と異なるアウトプットが出てくる)

 定義がないと学習すらしてくれないのですが、意外と学習の定義を無視して「学習してくれるんしょ?」という話がでてきてしまうのです。

 「何でもやります!がんばります!」という新入社員は美しいですが、何でもできるシステム言うのは残念ながら存在しません。

 そして、この学習の定義というのは、「外部丸投げ」は絶対に出来ません。
技術者と一緒に、定義と試行錯誤を繰り返すしかないのです。その試行錯誤そのものがノウハウの蓄積になってくるのです。

 色んなAIモデルが蓄積されてきて、かなり汎用化されるようになる時代もいずれ来るかもしれません。 しかし、それには膨大なお金と時間がかかり、まだまだ先でしょう。待っていてもぼた餅は落ちてこないのです。

 そういう意味では、「AI」というのは人間を育成することと似ているのかもしれませんね。そういう意味では人間くさい感じもします。

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