ワークライフ

時に、組織では役職やパワーが自然科学を凌駕する

 モノを上から話すと重力に従って落ちますね。

 水が冷えると氷になります。

 配線が短絡するとショートして火花が散ってブレーカーが落ちます。

 余りにも当たり前過ぎるかもしれません。

 しかし、組織という所は面白いところで、時にはものを落としても重力に従わずに落ちなかったり、冷えても水が凍らないという現象が起きます。

 「まさか」と思うかもしれません。

 こんな場面に似たような経験したことありませんか?

 現場で排水処理設備にある調整槽のphがおかしいという現象がありました。

何度見ても通常の値とは異なっている。しかし、その後の工程には何ら影響が出てない。

 現場を見ている入社2年目のAさんにはどうしても理由が分からない。

 そこに、元現場を見ていた役員登場。

 もう30年以上前だけども現場経験があり、工場を新設した頃から関わっていて、誰もその人に逆らえない。「逆らうと左遷される」という噂を何度も聞いたことがある人です。

 役員:「おっ、頑張っているか?」

 Aさん:「あ、はい」

 Aさんは雲の上の人から初めて声を掛けられて、緊張しています。

 役員:「どうした?」

 Aさん:「は、はい。phの値がいつもと違っていて」

 役員:「どうせ製造の奴らが掃除のために薬品を流してきたんだろ。昔から時々あることだ。俺も経験した。そういうときはph調整剤を入れておけ」

 Aさん:「い、いえ・・・」

 役員:「何だ?」

 ジロリと睨まれるとAさんは何も言えません。

 役員:「ph調整なんてそんな簡単なことすらできないのか?化学の基礎の基礎じゃないか」

 Aさん:「すいません・・・」

 まぁ、ドラマだとここら辺で「そうですよねぇ、全く。ほら、役員が仰っているのですぐに調整剤の準備を」という「イソギンチャク部長」あたりが出るのが定番なのでしょうが、話がややこしくなるので止めておきます(笑) 

 で、真面目なAさんは言われたとおりに、調整剤を調整槽に投入しました。

数時間後。

排水処理設備で膨大な泡が発生。一気に不具合を起こし、処理仕切れなかった汚水が急激に溜まってきたために、汚水の流入を調整するために工場の生産を一時停止。バキュームカーによる回収と外部処理施設での処理をする大騒ぎに。

法令に基づく生産停止は免れましたが、生産は一時停止し莫大な損失を出してしまいました。

 その調整剤を入れたAさんは当然始末書を書く事態に。

 Aさんは「後工程が問題ない」ということを役員に言えなかったんですね。

それを聞いていない役員は「phがおかしい=調整剤投入」という短絡的な指示をして、後工程が大騒ぎ。

 蓋を開けてみたら、問題の根本はph計の故障だったというオチ。

 機器故障を見逃した現場は当然全社から非難の的

 その騒ぎで指示をした役員の責任は、いつの間にかうやむやに。

 結局、確認をキチンとすれば問題解決できたんです。

 人は、地位や相手の関係性やパワーに影響される動物です。

 それが、いつの間にか自然科学すら無視してしまうようなことすら引き起こしてしまいます。

 ちょっと極端な例を出しましたが、大なり小なり組織内ではおきうる話です。

 人や組織というのは時に(本人たちや組織にとっては合理的な行動が)不合理を起こしてしまうこともあります。

 自然科学は正直です。

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