問題解決

リセットできないとコストが増える

 システム開発だけに限らず、色んな仕組みを作っていると、長年立つと「改修ではどうにもならない」ということも起きます。

 別に時間がかかっていなくても、開発中であっても様々な要求を入れ込んでいくと、要件がグチャグチャになってしまい、「にっちもさっちも」いかなくなることがあります。

 ここで、「リセットする」としたいところですが、そうは簡単にいかない場合もあるんですね。色んな制約条件の中で作っていることもあるでしょうから理解できます。

 ただ、サラリーマン社会でよくある「藪蛇」が原因でリセットできないというのは、本当に気を付けておきたいところです。

 「藪蛇」とは何か?というと、リセットするとなると、今までの予算や工数が飛んでしまうわけですから「無駄だった」と言われるわけですね。もっというと「今まで何やっていたんだ」というご下問です。

そして、それは関与していない人から言われるんです。(関与していた人は内容を理解していますから、あまりそういう突っ込みをしません(笑))

 全く状況を把握していない人から「今まで何やっていたんだ」と言われるとですね、当然ご説明をしなくてはいけないわけです。(突っ込んでいる人は別に嫌がらせでやっているわけではないんです。だから余計面倒くさい(笑))ご説明を一生懸命したところで、「何故できないか」という内容になってしまうわけですから、とっても正しい突っ込みがくるんですね。

「できない理由はいらない。どうやったらできるかを考えよ」

 もう、無謬の極致ですね。はい。誰もあらがえません。

だってその突っ込み正しいですから。どっかの経営の本に書かれていそうな突っ込みです(笑)

 そして、何とか実現する方法を考えるために、色んなロジックをくみああせて、超複雑怪奇な構造が生まれます。当然、作るまでの時間も遅い、そして、作られてからも複雑性が高いですから、バグ発生の確率も高い。

要件は増えていくのですが、作るスピードが追いつかない。複雑になることをおそれて、新たな要件投入は一旦ストップされます。

 はい、これで「時間はかかったけども既に古い」システムのできあがりです。

 結構、よくあるんです。

 本当はリセットをした方が、結果的に安くてスピーディーに色んなことができる場合もあるんですよ。しかし、リセットするために「捨てた工数・予算が無駄である」という、部分的には正しい突っ込みを回避するために、余計なお金を使って、トータルでみるととっても無駄なものができあがります。これを埋没コスト(サンクコスト)といいます。

 これはシステム開発論ではなくて、ハッキリ言って組織の意志決定と直結する問題なんですね。

 こういうことが起きるケースは、乱暴に言うとこんな組織で起きます。

1)突っ込む人が内容をよく理解しておらず、「正しい反論しようがない突っ込みを入れる」人がいる(私はこれを風紀委員と言っています(笑))

2)失敗を認めると、非常に面倒なことが起きる

3)仮に失敗を認めると、過去に遡ってまで問題や責任の遡及が起きる

 再び問題を起こさないためには、過去を振り返ることは大切です。

が、それがいつの間にか「懺悔大会」「人民裁判」「被告人は罰を受ける」という組織学習が繰り返されると、組織の構成員は可能な限り失敗を認めないように動きます。そして、問題は隠され、サンクコストがどんどん積み上がっていくのです。

 そして、コストはかかるが何もできない仕組みが量産されます。

 もう、そんな仕組みを作るのはやめましょう。

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