問題解決

その平均に意味はあるのか?

 先日、金融庁が老後の資産形成についてのレポートを出して見事炎上しましたね。

 「炎上」というのは、論点が多すぎて議論が収拾つかないケースが多いので、私は議論に参戦しません(笑)(意見をいうのは自由だと思います)、ちょっとだけ気になったのが「平均」というもの。

 経営大学院で、数字を用いた意思決定について議論をしたりする時に、金融資産の例を出したりすることがあります。

 (個人)金融資産については、各種機関が様々な分析を毎年行っており、それに基づいて常に報道がなされます。

報道機関によって着目するポイントが異なりますので、様々な書き方をされます。

 例えば、A新聞は「格差」について着目すれば、B新聞は「(平均)貯蓄額の高さ」に着目する。

 厚労省のデータを見ると全世帯平均1033万円だそうですね。これが高齢者世帯になると世帯平均1224万円

 これだけ見ると「世の中金持ちが多いんですなぁ」となったりしますが、当然これには平均の罠があるわけです。

 例えば、10人いるとして9人が貯蓄ゼロ。1人が1億円だと、平均1000万円です。

一人がもっとお金持ちで10億円持っていたとすると、平均1億円です。こりゃ凄いです(笑)

 もうお分かりですね。こんな数字に平均はハッキリいって意味が無いです。

 結局、どういう分布しているのか?ということが分からないと、意味が無いのです。

 ところが、周りを見渡してみてください。平均という数字が多くないですか?

何か、Excelに放り込むと盲目的にaverage関数で計算させてしまう。

仕事のデータでも結構そういうのありますよ。平均稼働率なんてよくある奴ですね。

 例えば、

・チームが2つあって、各チーム100人のアルバイト仕事をしています。

・ライン作業なので一部だけの人では仕事ができません

・作業能力は常に一定。スピードは全く変わりません

・時給1000円/時間×1日5時間拘束(各チーム50万円/日の固定費がかかります)

・残業をしたら1.1倍の時給が発生します。1100円です。

 稼働率は5時間全員仕事をしていたら100%ですね。120%とすると全員1時間ずつ残業をしたことになります。

残業時間はチームあたり11万/時間追加の費用がかかります。

 その稼働率を並べたものです。(100%を超えたら残業が発生しています)

 チームリーダーがそれぞれ稼働率を報告するんですね。

 Aチーム「平均稼働率は96%でしたー」

 Bチーム「平均稼働率は86%でしたー」

 その平均だけ捉えたリーダーはBチームを叱責します。

 リーダー「Aはほぼ稼働率が100%に近い。よくやっている。それに比べてBは何だ!非効率じゃないか!」

 はい、表を見れば一目瞭然ですね。

実はAの方が非効率この上ないんです。Aは水曜と木曜は半分が遊んでいるけど、金曜は全員5時間ずつ残業をしないと終わらなかったんですね。一方Bは常に100%を下回っていますから、仕事量としては確かにBの方が少ないけども、Aは残業代が55万円ほど余分にかかってます。分散してしまえば、本来は固定費内において仕事ができたはずなのです。

 ところが「平均」だけ切り取られて、頑張ったBのリーダーが怒られる。

 こんなリーダーが上にいたら、私はいやです(笑)

 平均には意味がありますが、万能ではありません。それらを補うために、中央値だとか標準偏差だとか他の見方があるわけです。

これらを知らないと、数字に振り回されてしまい不幸になってしまうんですね。

そして、数字には必ず何らかのストーリーがあるはず。そのストーリーと一緒に考えないと、振り回されるだけで不幸になってしまいます。数字を見る時は、是非そのストーリーに思いを馳せたり、現場を確認するなどしっかりと定性面も把握することがとても大切です。

 だから、我々は「こっちのIoTは現場の叩きあげ」にこだわっているのです。

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